試し書きだらけのノート

日々のあれこれ。

穏やかな風が凪いだ。

火傷に薄皮が張った。
体というものはつくづく前向きなもので、
おっしゃ!治しますよ!と頑張る。
傷口が治りかけていくのを毎日眺めていると、
健気だなぁと思う。
体はとても健気だ。



2人きりで約一年過ごしてきて感じたことは、
驚くほど共有できるものがないことだった。
いや、付き合っている時からそれには気付いていたのだけれど、いざ生活として過ごしてみたら何かあるかも、と思っていた。
しかし、無かった。
たまになんとなく見る映画。
たまになんとなく行くドライブ。
たまに見る映画と書いたけど、たまに映画週間のように毎日映画を見るときもある。

夫の趣味はゲームだ。ボイスチャットを使って友人と話しながらする。
ボイスチャットは会話相手が存在しないけれど部屋の中に存在するような感覚に陥るのでだいぶストレスになっていた。
私は調子がいいと本を読む。手紙を書く。
夫から「ゲーム、隣で見る?」と何度も誘われているが、ボイスチャットをしながらしているゲームをちーんと1人で見る寂しさったら無いだろう。

犬を飼うことは半年前くらいから話し合っていた。
だからその為に飼育可能なマンションに引っ越した。
それでも半年ズルズルと犬種で意見が合わなかったり、私が実家で犬を飼っているからこそ思ってしまう諸々の感情で踏み出せなかったりしていた。
最近、夫はあるミニチュアピンシャーが可愛いと2日連続で見に行ったりしていたのだが、ある日しょんぼりした顔で帰ってきたのでどうしたのか?と尋ねた。
「今日、他にもあの子のことを詳しく知ってて飼うか迷ってる夫婦に会った」
とのことだった。
間髪入れずに私の口から出た言葉は、
「今から迎えに行こう」
だった。本当に迷いが消えて口から出た言葉だった。
そんなこんなで4ヶ月の男の子が我が家にやってきた。


子犬がやってきてから、驚くほど喧嘩をしなくなった。
この子の前で不穏な空気を作りたくないという思いが働く。
そして何より、会話が増えた。
互いが見ていない間の犬の様子を伝え合うからだろう。
一緒に遊ぶのは勿論、躾にも2人で頭を悩まして話し合っている。


この子が年老いて息をひきとるその日まで、目一杯愛そう。